保険料が支払えなくなった場合の対応策

経営者の方が決算対策として生命保険を活用されるのは、事業が好調で利益が出ている時期になります。しかし、社会情勢の変化が激しい昨今では、経営状況が短期間で変化することも珍しくありません。数年先ですら予想するのが難しいのもまた事実です。

これに対して、生命保険の保険料の支払いは今期だけに止まらず、来期以降も続くため「果たして予定通りに保険料を払い続けることができるだろうか」という不安を感じる経営者様もお見受けします。

もしも保険料の支払いが難しくなった時には、どのような方法で回避すればいいのでしょうか?

■1:払込猶予期間

保険料の支払いが遅れたときには、払込猶予期間というものがあります。本来、保険料の払い込みは「払込期月」といって、契約応当日の属する月の1日から末日までに支払うことになっています。たとえば契約応当日が3月31日の場合、払込期月は毎年3月1日から31日までです。

払込猶予期間は、月払契約の場合は払込期月の翌月の1日から末日まで、半年払、年払の場合は払込期月の翌月の1日から翌々月の月単位の契約応当日までになります※。つまり、2ヶ月間が支払猶予期間となります。先ほどの例のように契約応当日が3月31日なら、支払猶予期間は5月31日になります。

もし、支払猶予期間内で資金繰りを確保できるのであれば、その間に支払えば、契約は有効に継続します。
※(月単位の応当日がない場合は翌々月の末日まで。ただし、契約応当日が2月、6月、11月の各末日の場合には、それぞれ、4月、8月、1月の各末日まで)

■2:契約者貸付

契約者貸付(けいやくしゃかしつけ)とは、解約返戻金の範囲内で保険会社から借り入れをできる仕組みです。経営上、急な資金繰りが生じた場合でも、保険を解約しないで対処することが可能です。

借り入れの限度額は(保険会社によって異なりますが)、解約返戻金の90%までとなります。貸付利率は金利情勢、または契約時の約定利率に応じて、各保険会社が設定しています(2016年4月現在概ね2%~3%)。

契約者貸付を利用するには、契約先の保険会社に必要書類を提出します。場合によっては、オンラインで手続きできるところもあります。一般的に、手続きを開始してから2~3営業日後には、指定した口座に貸付金が振込まれます。

■3:自動振替貸付

自動振替貸付(じどうふりかえかしつけ)とは、次回に払うべき保険料を自動的に保険会社が立て替えて、契約を有効に継続させる制度です。手元に現金がなく、次回の保険料を支払えないときに有効です。

利用するときには、下記の2つがポイントです。

(1)自動振替貸付が適用できるかどうか

保険契約によっては、あらかじめ自動振替貸付が適用されないように設定されているケースがあります。もし、適用されない設定になっている場合には、契約者が保険会社に申し出れば適用されます。

貴社で契約している保険が自動振替貸付の適用となっているか否かは、保険会社が定期的に発行する「契約内容のお知らせ」などに記載されています。ご不明な場合は、保険会社・代理店の担当者にご確認ください。

(2)決算をまたがないか

自動振替貸付は、支払猶予期間を過ぎてから適用されます。このため、3月決算の企業で3月31日が契約応当日の場合、自動振替貸付を利用すると、保険料を支払うのは5月1日になります。つまり、翌期に保険料を支払うことになります。

なお、自動振替貸付が発動してから3ヶ月以内に保険を解約してしまうと、遡って自動振替貸付が適用されなかったことになってしまいます。決算をまたいで資金が移動することになりますので、注意が必要です。

■4:失効と復活

保険料の支払猶予期間を過ぎて、かつ自動振替貸付が適用されない場合、保険契約は「失効」します。失効しても貯まった解約返戻金に変動はありませんが、保障としての機能は消滅します。

失効した契約は、失効から3年以内(保険会社・保険商品によって異なります)であれば、復活することができます。

復活の手順

・契約している保険会社に復活の意向を連絡します。

・健康査定を行って、保険会社からの承認を得ます。※1

・これまでの未払保険料を支払い、復活が完了します。※2

※1.健康状態によっては条件(保障内容の削減や保険料の割増など)が付いてしまったり、最悪のケースでは復活が認められないこともあり得ます。

※2.保険会社によっては、復活保険料に利息が賦課されます。

復活保険料の経理処理

例えば、復活する時点で3年分の保険料を支払った場合、その期に計上される損金算入額も3年分となります。そのため大きな利益が存在していれば吸収されますが、そうでなければ赤字決算となってしまう危険性があるため、タイミングを見計らって復活されることをお薦めします。

■5:保障の減額(部分解約)

生命保険は契約内容を見直して、保障額を下げることが可能です。これを減額(げんがく)と呼びます。貯蓄性の高い保険を減額すると、以下のような現象が起こります。

例えば、保障額が1億円の保険に加入していて、現時点の解約返戻金が1,000万円あるとします。この保障額を1億円から7,000万円に減額すると、減らした3割が部分解約されたことになるため、解約返戻金1,000万円の3割にあたる300万円が解約返戻金として振込まれます。

このように、貯まった解約返戻金を部分的に取り出すことも可能なため、資金需要に応じて金額の調整をすることができます。契約者貸付や自動振替貸付のような借入れとは異なるため、当然ながら利息もかかりません。減額すると次回以降に支払う保険料も3割減となります。

減額した契約は、元通りに戻すことはできません。これは、全てを解約した契約を元に戻すことができないのと同じ理屈です。ちなみに生命保険は減額することは可能ですが、増額することはできません。増額する場合には、新たに別の契約を追加する必要があります。

■来期以降を意識して保険を選ぶ

生命保険の保険料が支払えなくなった場合でも、前述のような方法で対処することは可能ですが、あくまでも応急処置的な方法になります。従って、保険の加入時に来期以降の保険料支払いも考慮して、商品選定や保険料の金額設定をすることが重要といえます。今期の利益が高いからといって、高額な保険料にしてしますと、応急処置が必要になってしまうリスクが増えてしまいます。

なお、一概に解約返戻金が貯まる保険といっても、商品の種類によって貯まり方は大きく異なります。
大別すると、

①導入してから一定期間は解約返戻率が低いが、ある時期を境に急激に増えるタイプ

②導入した時期からある程度の解約返戻率が確保され、緩やかに上昇していくタイプ

に分かれます。

「近い将来も見通しが利かない」という場合には、安全策として②をお薦めしています。

決算対策はしたいが「危ない橋は渡りたくない」「商品選定に自信がない」という経営者様はぜひお問合わせ下さい。御社の意向に合わせた安全ラインでご提案させて頂きます。

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